ここで言うところのブレインマップはQEEGブレインマップのことです。
これは脳波の測定値の定量化と年齢別標準データベースとの比較により導き出されます。ブレインマップの大部分は映像化された頭の図により構成されています。
多くの情報が頭のイメージで示されます。
丸の図の上と両サイドに三角の出っ張りがあります。
上の三角は鼻、両サイドは耳を表します。
頭を上からみた図です。
まず最初のページにはクライアント情報、測定日などの情報が記載されています。
次は測定の信頼度を二つの指標で表します。
続いて要約のページです。ゼットスコアという標準偏差が各周波数帯域別に示されます。赤か青の色が付いた部位は標準からずれていて、問題の可能性を示唆しています。
それから3つの接続性の標準偏差が示されます。アシンメトリー、コヒアランス、フェイズラグです。
これは標準値以内の値なら何も示されず、赤い線は偏差がプラス、青い線はマイナスを示します。何色でも線があれば問題の可能性が示唆されます。
つづいてFFTの絶対値です。これらは標準偏差、ゼットスコアではありません。その点を注意してみてください。
これは1~50Hzの脳波の1Hz毎の分布図です。例えば1Hzの図を見てみましょう。1Hzの一番多い部位が赤、少ないところが青で示されます。
例えば1Hzが赤で示された部位は1Hzが一番強い所ですので、1Hzの特性が一番出やすい部位です。
そしてその部位の機能局在を考えるとそれが意味を持ちます。
次の50個は割合を示します。最初の50個が絶対値、次が相対値です。
割合も絶対値と同じような考え方で参考にします。絶対値の方が役立つことが多いのですが、こちらも補助的に使います。
次の30個の図は1~30Hzの脳波を年齢別標準データベースと比較し、その偏差を図に表します。これは振幅ではなく、標準偏差を示します。
それぞれの1ヘルツ毎の同年代の平均値との差を色で示します。赤が偏差がプラス、青がマイナスです。偏差が標準値以内はグレーで表示されます。
その次の30個は標準偏差を割合で示します。
つまり全体を100%とし、割合を出し、色で示します。割合がプラスだと赤、標準だとグレー、マイナスだと青です。
続いて接続性です。最初はアシンメトリー
これは部位間の類似性を表します。どれだけ似ているかどうかです。これも標準偏差で示され、過度の場合が赤、過少は青です。
次はコヒアランス
コヒアランスは部位間の通信量を示します。通信量が多すぎても少なすぎても同じように動き独自性を失い、機能低下につながります。
さらにフェイズラグです。
これは部位間の通信に必要な時間差です。
これも標準偏差で示されます。多すぎても少なすぎても機能低下を示唆します。
それぞれ標準値以内の数値なら何も表示されず、標準偏差がプラスは赤、マイナスは青、そしてその程度は線の太さで示されます。
これらの接続性の図は赤でも青でも太い線があると問題がある可能性があります。
図解はここまでで次のページから数字が並んでいます。
その中にも大事なものがあります。
例えば、シータ・ベータレシオが代表例のレシオまたは認知力が反映するピーク周波数が各部位毎、各脳波周波数帯域別にが示されていて、測定した脳の特性を知る大きなヒントになります。
後は実際に読めばわかることなので今日はここまで
これは周波数帯域別のFFTの絶対値を部位毎に数値化しています。
次は周波数帯域別のゼットスコアの絶対値のパワーが数値化されています。
次はFFTの周波数帯域帯域別の相対値が数値化されています。
そしてゼットスコアの周波数帯域別の相対値です。
さらにFFTのいろいろな割合、パワーレシオが続きます。レシオは各19か所の部位での数字が示されます。レシオの種類はD/T D/A D/B D/G T/A T/B T/G A/B A/G B/Gです。
レシオは周波数帯域別の割合を示しています。Dはデルタ波、Tはシータ波、Aはアルファ波、Bはベータ波、Gはガンマ波です。
レシオで一番有名なものはT/Bレシオです。これはシータ波をベータ波で割った数字、シータ波がベータ波に比べどのくらいあるのかです。
続いてゼットスコアのレシオです。
さらに各部位における周波数帯域別のピーク周波数が数値化されています。これは結構役立ちます。
次はゼットスコアの周波数帯域別のピーク周波数です。
さらにデータを増やすこともできます。ここでは代表的なものでけ並べています。
そしてLORETAというソフトを使うと脳波の発生源が特定され表面脳波から3D画像が作れます。
3D画像も標準偏差で見ることが出来ます。こちらも同じように赤や青で標準偏差を超えた部位を表示します。
3D画像にも接続性が表示されたり、いろいろな情報が含まれ日々複雑化されていきます。
しかしここで気を付けねばならないことがあります。それは大変重要なことです。それは最初にソフトに入力するデータが正確でないと全てが無意味になってしまうことです。
英語ではゴミを入力するとゴミしか出てこないと言います。もしかしたら私の思い過ごしかも知れませんが、この最初のデータがその重要性に比べ軽く扱われているように感じます。
最初のデータというのは脳波測定データです。
まず正しい脳波測定をしなければなりません。ここで多くの準備が必要です。また測定される側の準備もあります。
脳波測定にはノイズと呼ばれる厄介なものがあります。これは脳波以外の全ての電位のことです。大きなものは環境からのノイズ。それからクライアントからのノイズです。
環境からはパソコンからノイズが一番大きいようです。クライアントからは筋電と瞬きです。
筋電とは筋肉を動かすと発生する電位です。大人は協力的でじっとしていてくれるので問題がないことが多いのですが、問題を抱えた子供の場合、全く不可能のこともあります。できてもノイズだらけの恐ろしいデータだったりします。
また大人でも緊張の強い人は頭皮に力が入っていたり、あごに力が入っていたり、噛みしめていたりします。
どこかに力が入っていると良いデータは得にくいです。
開眼の測定時には瞬きが問題になります。瞬きが止まらない人、瞼が痙攣している人などもいます。
筋電はミリボルトで測定するところ、脳波はマイクロボルトです。1000倍の違いがあります。
どんなに協力的なクライアントでもそして測定者がベテランでも完璧なデータを得ることは出来ません。
そこで少し長めに測定し、その中から良い部分だけ選別します。それをエディティングと言います。
しかしまたここで問題があります。それがノイズか突発性異常脳波かを見分けることが難しいことです。
つまり脳波測定はいろいろな変数が含まれなかなか完璧なデータを得ることは難しいのです。多くの場合、例えば自閉症のお子さんの測定の時など、どんな汚い、ノイズだらけのものであれ取れればラッキーです。
しかも脳波は状況依存します。クライアントの体調、眠い、空腹、暑い、寒いなどと心理状態、怒っている、退屈しているなどによります。
さらに言うと測定時間にも影響を受けます。朝と夜では異なる結果が出る可能性が高いのです。
このような問題の多い脳波測定の結果をデジタルで処理をするともうまるで完璧なデータから算出されたものと勘違いして使っているトレーナーが多いようです。
少し立ち止まりアナログ脳波測定を再確認する必要があるのかも知れません。それとももう少し技術が進歩するばそれすらも不要なりそうです。
しかし残念ながらまだまだそこまでの進歩はしていなく、良い結果を出すには正しくブレインマップのデータを理解する必要があります。
私の言動がまるでブレインマップの有効性を否定しているかに見えたとしたらそれは大違いです。ブレインマップは恐らく最も安全に安直に脳を知ることのできる脳映像化技術です。
これなしではニューロフィードバックのトレーニングはあまり効果的にできない可能性が高いです。
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